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月末のジャーナル「月のお便りエッセイ」では、HAA編集部が1ヶ月を振り返って見つけた"深呼吸の種”をエッセイに込めて、お手紙を出すような気持ちでお届けしています。
「は~」と深呼吸しながら、その封を開けてみてください。
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「お母さんて、いつ休んでいるんだろう」
幼い頃からずっと疑問だった。
仕事、3人の育児、日々の家事。
忙しい毎日を頑張るためには
いくらスーパーマンの母でも息抜きは必要だったはず。だけど……。
友達と遊びにも行かない。夜家を空けることもない。
それっぽいことは、日曜日の午後の昼寝くらいで
それだって大した息抜きにはならないことを、今の私は知っている。
SNSがない時代。
しんどさ、大変さを呟いて
誰かが共感してくれることもない。
働く女性の環境も、どれだけ整っていたか分からない。
母はどうやって深呼吸してたのだろう。
その答えは、お正月の帰省で明らかになった。
§
「あなたが小学校中学年くらいの頃かなぁ。
お母さん、昔から京都が好きだったのよね。
朝、いつものように支度して、いつもの時間に家を出て、職場に行かず新幹線に乗って、隠れて京都に行ってたのよ。もちろん仕事は事前にお休みをとってね。
行きたいお寺に行ったり、食べたいものを食べて、夕方には帰れる新幹線に乗るの。しれ〜っと家に帰って、いつも通りご飯作って家のことして。
気づいてなかったでしょ?多分お父さんも未だに知らないよ(笑)。
みんなそうやってうまくやってんのよ。あなたも頑張りはほどほどに、うまく息抜きするのよ」
§
なんと……!
私は驚いた。なんて軽やかで遊びに富んだHAA時間なんだろう。
真面目で家庭的だった記憶の中の母像からは、想像できない答えだった。
……でも、ちょっと思い当たる節はある。母は京都にやたら詳しいのだ。
私が今京都に住んでいて、「先週〇〇寺に行ったよ」と話すと、「お母さんも昔行ったことある」とだいたい返してくる。
母の京都好きは知っていたし、一緒に行った記憶がある場所もあるけれど、
それにしても多すぎないか?と思っていた裏に、まさかこんなストーリーがあったとは。
「夜は家を空けない」「週末は家族と過ごす」など、自分なりのルールを守りながら
隠れ京都旅をサラリとやってのけ、
それを誰にも語らず、そっと胸の中にしまっておいた母。
楽しそうに語る母を見て
なんだか私は嬉しくて、少しほっとしたのだった。
§
子供の頃、寄り道した先で見たキラキラ光る小川の水面。
20代、はじめて一人で訪れたバーで、とびきりお洒落なお酒を飲んだこと。
出産して1ヶ月、はじめて夫に子どもを預け、近所のコンビニに一人で出かけたときの感動。
そして今、子ども達を寝かしつけた後にひとりで食べる、お疲れさまのチョコレート。
どんな人にも、どんな時代にも、
その人にしか分からない「は~」なひとときがある。
2025年はどんな深呼吸ができるだろう。
なんだかわくわくしてきた。
Text by 佐藤ちえみ
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今回は、お正月帰省で発覚した身近な深呼吸マスターについてのお話でした。
皆さんの身の周りにも、意外な深呼吸マスターがいるかもしれませんね。
さて、1月24日はHAAも発売から三周年を迎えました。
人気の「HAA for bath 日々(10個)ギフトボックス」もリニューアルしたので、以下のジャーナルもお読みいただけると嬉しいです。
今月もお疲れさまでした。来月も「は~」っと深呼吸していきましょう。
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