ジャーナル

深呼吸を探す旅vol.2|瀬戸内編

深呼吸を探す旅vol.2|瀬戸内編

HAA代表の池田佳乃子が日本全国を巡りながら、日常に溶け込む深呼吸を探る連載企画「深旅(しんたび)」。今回の舞台は、瀬戸内です。いったいどんな深呼吸が見つかったのでしょうか。HAA編集部が聞きました。


旅のテーマは「空間的間(あわい)」

--久々の深旅連載、とても楽しみにしていました。今回かのこさんはどんな旅をされたのでしょうか?

今回は、約10日間かけて瀬戸内を巡る旅をしてきました。穏やかな瀬戸内の風景や、人々の暮らし、アートなど、さまざまな視点で深呼吸について考える、とても良い機会になりました。

--今回の旅にテーマを付けるとしたら、ずばり何ですか?

「空間的間(あわい)」がキーワードになった旅だったと思います。

--空間的間という言葉は、前回の京都・鴨川編で出てきたキーワードのひとつでしたね。少しおさらいすると、「深呼吸を“間(余白や間合い)”という視点で捉えると、“空間的間”と“時間的間”があるのではないだろうか?」というひとつの仮説が立ったのが、前回のお話でしたね。

そうですね。“空間的間”というのは、「その空間に行けば自然と深呼吸できる」と感じられるもの。つまり、空間や場所自体に存在する余白のことです。

もうひとつの“時間的間”は、「この行動をすると深呼吸できる」と感じられるもの。デスクワークの合間にチョコレートを食べて一息ついたり、あたたかい飲み物をゆっくり味わいながら飲んだり、そういう能動的な行動によって生まれる時間的余白のことです。

今回は、「空間的間」を感じた旅だったので、そのことをお話したいと思います。

海がもたらす深呼吸

もともと私の中で、瀬戸内で暮らしている人はとても穏やかで、深呼吸上手な人が多いイメージがあったんです。今回の旅で、常に海の存在感を感じながら過ごす中で、その理由のひとつは、瀬戸内海が持つ空間的間の作用なのではないかと感じました。

--瀬戸内海といえば、波が立たず、凪のような穏やかな海の風景が印象的ですよね。

そうなんです。そういう空間的間をまとった風景が、日常の中に溶け込んでいるんですよね。ふとした瞬間に海を見て、心が落ち着いたり、リセットできたり。海によって、自分の心模様がやわらかく変化していくような印象でした。

でも、よく考えてみると、全ての海が瀬戸内海のように穏やかなわけではないんですよね。

実は今回のフィールドワーク中に、あるトークイベントに行ったんです。瀬戸内で暮らしている方と、日本海側の島で暮らしている方が登壇されていて、「海辺の暮らし」についてお話されていたので、それぞれの方に「海での暮らしをどのように捉えていますか?」と聞いてみたんです。

瀬戸内の方は、海が深呼吸のトリガーになっている暮らしの様子を教えてくださいました。

一方で、日本海側の海辺の暮らしは趣がまったく違ったんです。例えば、荒波の影響で船が出ない日は、新聞や物資が届かない。本土に行く予定があっても、手段が途絶えてしまう。そういう「自然の厳しさ」と常に共存されているんですよね。

けれど、「そういうとき、どんなふうに感じますか?」と質問してみたら、「あ~、今日は海が荒れてるから仕方ないか」って受け入れると仰っていたんです。

自然が暮らしに大きな影響を及ぼす環境だから、人々がその変化を受け入れる受容性がすごく高いんですよね。その上で、臨機応変に自分のリズムや余白をつくっている。まさに深呼吸マスターだな~って。

--なるほど。日本海側では、海の方が変化が大きい分、そこに人々がフィットしていくような暮らし方。一方で、瀬戸内は、穏やかな海に、自分の心の在り様が映し出すように暮らしているイメージでしょうか。ひとくちに「海」といっても色々あって、感じ方も全然違うんですね。

そうそう。もちろん一概には言えないですが。ただ、瀬戸内の海には、深呼吸を運んでくれる空間的間が確かにあった。深呼吸と親和性が高い場所だなと、とても実感しました。

アート空間で感じた深呼吸

もうひとつ、空間的間を感じたのが、香川県の豊島美術館です。

水滴のようなフォルムの建物の中に身を置いて、ぽっかり開いた二つの穴から、木の葉がそよぐさまや、陽の光が差し込む様子を眺めていると、別府の温泉に浸かっているときのように、心がほどけていく感覚になったんです。

--かのこさんの中で、「深呼吸できている状態」の判断基準が「別府の共同温泉に浸かっている状態」と、以前話されていましたが、まさにそんな感じだったのですね。

そうなんです。お湯のない温泉に浸かっているような、ただそこに存在している感覚……っていうのかな。建物内には、水がぷっくり湧き出して、流れ、集まっていく仕掛けが施されているのですが、その様子をただじっと眺めているのもすごくHAA体験でした。言葉では説明しきれないので、是非行ってみてほしいです。

--豊島美術館にも、空間的間があって、深呼吸できたんですね。

はい。海と豊島美術館。ふたつの空間的間を感じたときに、自分の中でひとつのキーワードが浮かび上がってきたんです。それが「1/fゆらぎ」です。

1/fゆらぎと深呼吸の関係

「1/fゆらぎ」というのは、自然界や音楽、脳波などに見られる心地よいリズムや変動のパターンのことを指す言葉です。

--そよ風の揺れや炎のゆらめきなど、規則と不規則の間にある自然で心地よいリズムのことですよね。

そうです。元々1/fゆらぎは、リラックス効果や癒し効果があると言われていますが、わたしたちHAAでいう「深呼吸」にも深く関係しているのだと、今回の旅で確信したように思います。

瀬戸内の旅の最中、「今深呼吸できているな」と感じるときは、常に1/fゆらぎを感じていました。

意識的にも、無意識的にも、それを敏感に感じ取れていると、瞑想状態に入りやすいというか、深呼吸しやすくなれるんだなって。

--1/fゆらぎをトリガーとして、呼吸が深まる。

そうです。そういう、自分のリズムを整えられるトリガーが、暮らしているまちや、家の中にあったら、そこはきっとHAAスポットになりうる場所なんだと思います。

--自分にとって「どこかに深呼吸できる場所はないかな?」という空間を探している方がいたら、1/fゆらぎがある場所を想像すると、HAAスポット探しのヒントになるかもしれませんね。

次は、時間的間を探す旅へ

--これまでの旅の中で、空間的間にまつわる深呼吸については、理解がどんどん深まってきた感じがします。今後はどのような旅をしたいですか?

次は、“時間的間”にまつわる深呼吸を探す旅ができたらと思っています。今、私の中で、「寒い地域に暮らす方々は、時間由来の深呼吸が上手なのでは?」という仮説があるので、今年の冬はそこを深掘りできたらと思っています。

--それはどうしてですか?

雪が積もる地域の方って、冬の間は「ちょっと深呼吸しに近所の公園行こう」というのが物理的に難しいと思うんです。だからこそ、場所を変えずに深呼吸する工夫をされているのではないかと。

--なるほど。それが分かると、時間・空間の二軸から深呼吸の仕方が分かって、より理解が深まりそうですね。どんな旅になるのか、楽しみにしています。今回はありがとうございました。


\Podcastでも配信中/

今回の瀬戸内旅については、Podcastでも配信中。こちらから、ぜひチェックしてみてくださいね。

HAA編集部
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