HAA編集部が“気になる人”に深呼吸についてお話を聞く人気連載。
第2回目は、鍼灸師の安東由仁さんをゲストに、【養生×深呼吸】をテーマにお届けしています。
前編では、安東さんのご経験や、日々大切にしている養生の考え方をお届けしました。
後編では、HAA編集部と安東さんの対話をもとに、養生の具体的なアイデアをご紹介します。
おさらいしておきたい2つのポイント
本題に入る前に、前編でお届けした大切なポイントを思い出しておきましょう。
・養生の基本は、休むこと
・人それぞれ、適した養生法は異なること
今回ご紹介する養生法も、数あるアイデアの一部です。大切なのは、自分と向き合うこと。そのヒントにしていただければ嬉しいです。
養生のすゝめ~思考編~
①今だけにとらわれず、長い目で考える
人生を海に例えてみると、静かな凪の時もあれば、嵐のような大波が押し寄せる時もあります。
仕事の頑張りどき、出産や育児、介護など、あらゆる大波が押し寄せる時ほど、健やかな状態を保つのは難しいものです。
どうすれば少し楽になれるのか。ヒントは取材中の安東さんの言葉にありました。
安東さん:
「アスレティックトレーナー時代は、平日も土日も関係なく働き、充実はしていたもののとても忙しかったです。その後、子どもが生まれてからは、仕事の仕方や考え方も少しずつ変わっていきました。
今現在、わたしが大切にしているのは、自分が元気で機嫌よくいられること。
そのためには、仕事量を少し減らして調整することも必要です。それは、悲しさや寂しさを伴う側面もありますが、今はそういう時期なんだと思うようにしているんです。子どもの成長と共に、きっと暮らし方や考え方は変わっていくでしょう。今ある現状を見つめると同時に、人生を長いスパンで考えてみると、少し心が楽になるような気がしています」
②“足す”よりも、“引く”
安東さん:
「養生を考えるとき、運動や食事改善など、何か“足す”行動をする方が多い印象です。
しかし、『疲れてるな』『しんどいな』と感じるということは、そもそも何かを“しすぎ”な場合が多いです。
もしそうならば、まず休むことが大切。だから、“足す”ではなく、どちらかというと“引く”思考を取り入れてみると良いと思います」
新しいことをやろうする前に、その余白があるかどうか、自分の状態を観察する。もしないと感じるならば、休養が足りていないのかもしれません。
養生とは、とことん自分と向き合うことから始まるのですね。
養生のすゝめ~行動編~
①場所を変える
安東さん:
「場所を変えると、視覚情報が一気に変わります。人間の脳は、視覚からの情報量が80%以上だと言われています。だからこそ、場所を変えるだけでも気分が変わり、リフレッシュできますよ」
「わたしは、仕事の合間に近所のカフェに行ったり、夜は銭湯に行ったりします。特に銭湯は、視覚だけでなく、五感全てが刺激されるのでリラックスには最適ですよね。お風呂を洗ったり、湯を沸かしたり、という手間もないので、休息(家事を手放す)という視点からみても良いと思います」
②お風呂に入ってリラックスする
HAAからも、お風呂に浸かる習慣をおすすめします。
入浴は、心身をリラックスさせるだけでなく、眠りの質を上げるためにも効果的だと言われています。
人の脳は、一度上がった体温が下がるときに眠気を感じるようにできています。そのため、睡眠の質を上げるためには、眠る90分前に40度のお風呂に15分浸かるのがおすすめです。(睡眠と入浴の関係性については、こちらの記事をご覧下さい。→①②)
加えて、「ちょっと疲れたな」と感じた時の手浴や足浴もおすすめです。秋の冷え込みが増す季節、HAAの入浴剤シリーズをぜひお試しください。
③深呼吸する
深呼吸は、身体のあらゆる機能を調整している自律神経を整えてくれます。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、それらは生活の中でうまくバランスをとりあっています。
ストレスを感じやすい現代社会では、交感神経が過剰に働いてしまいがち。だからこそ、意識して副交感神経を優位にするよう工夫が必要なのですね。その手がかりになるのが、深呼吸(主に「吐く」こと)です。
最初は意識的に。それを繰り返し習慣化することで、徐々に自律神経が整い健やかな状態へ近づけるはずです。
養生は、深呼吸のある暮らしのなかに
今回は2回にわたり、養生という視点から深呼吸のある暮らしについて深掘りしました。
ゆっくり休んでみたり、ご紹介したアイデアを試してみたりしながら、皆さんが自分なりの養生法を探すきっかけになれば嬉しいです。
本連載では、これからもさまざまなゲストとあらゆる切り口で深呼吸について考えを深めていきます。次回もどうぞお楽しみに。