焦げたホットケーキ
ゆっくり起き上がって、ホットケーキを焼いた。
チャンスが目の前にやってきているのに、
いまの自分から、何かを良くしようというやる気が全く起こってこない。
ひっくり返すまでの間、何気なくスクロールしていたSNSで、
カナダのコーヒーショップが
店の前から見える景色をアップしていた。
物悲しい、ビルと枯れた木々。
そこには昔、ちょうどこんな季節の時に一回だけ行ったことがある。
秋の空気と、舞う枯葉たち、
扉を開けると、暖かい空気の中でスタイリッシュな店員さんが笑う。
静かなと苦いコーヒーの味は、いまでも思い出せる。
素晴らしい空間に、私だけ浮いていたような気がする。
気づいたら香ばしい匂いがする。
ホットケーキがうまくひっくり返せずにぐちゃぐちゃになった。
またいつか、あそこに行きたい。
劇的に変化することはなかなかできないけど、
焦らずに一歩ずつ進もう。
ゆっくりとその目標に近づいていけたらいいなと、
こげたホットケーキを食べながら思った。