ささきさんへ
初めはしゅわしゅわ、続いて、ぽこぽこ。そしていつの間にか、ぼこぼこ、どすどすと日に日に足音が大きく近づいてきていることに気が付きました。
あなたがわたしのお腹に借り暮らしを始めて早9ヶ月、今日から35週目に入るようです。家賃滞納してますよね……冗談です。今朝は、あなたがお腹を蹴り上げるので早くに目が覚めました。全然怒ってないですよ、全然。むしろ、わたしが陰であなたのことを「佐々木(仮称)」と呼んでいるの、もしかして怒ってるんですか?出来心なのです、ごめんなさい、でももう馴染んでしまったので、やめられません。
うーん、何を書こう。
実は、誤解を恐れずに言うと、わたしは母親になりたいわけではないのです。もちろん、あなたを蔑ろにしたいわけでもありません。お互いを大事に大事にしたいです。尊重だなんて少し仰々しいかもしれないけど、柔らかく健やかな関係でありたいです。そのためにも、ただただ、「あなたとわたし」でいたいのです。ニュートラルな立場で、とてもとても近しい他人でいたい、なんて家主は考えています。(異論は受け付けます、夜寝る前にたくさん話しましょう!)
……ちょっと小難しい話をしてしまいました。
とりあえず、早く、あなたと一緒に歌を歌いたいです。どんな声で、どんな顔つきで、生きていくのか。あなたの描く軌道を側でニヤニヤしながら眺められたら幸せです。それじゃあ、気を付けて出てきてね、一緒に頑張りましょう。またね。