日常の中で深呼吸できる時間を“HAA時間”と名付けてご紹介するコラム。
今回は、“古き良きに触れる”をテーマに、「ポジャギ」についてご紹介します。
ポジャギとは
みなさんはポジャギをご存知ですか?
ポジャギとは、朝鮮王朝時代の手仕事としてはじまった韓国の伝統工芸品です。
古くは物を包んだり、かぶせたり、日常生活に欠かせないものでした。
また、物を包むと同時に福をも包み込むとされ、贈り物の包装としても使われていました。
大きさや色の違うハギレを縫い合わせ、大きな1枚の布にしたポジャギ。最近日本でも、アンティークショップや蚤の市で見かけたり、雑誌の紙面で特集が組まれるなどして人気が広がっています。
窓際に飾ると、太陽の光で透ける様子から「布のステンドグラス」とも呼ばれるんだとか。カーテンのように飾ると、風がふく度に優しく揺れて、それだけで癒されます。
小さな布を丁寧にひと針ひと針縫い合わせた緻密な仕事に、布の向こう側にいる作り手の想いが伝わるようです。
包む文化は日本にも
日本には昔から、包む文化が色濃く根付いています。
包むの“包”という漢字の象形文字は、お母さんのお腹に赤ちゃんが宿っている様子から成り立っているのだとか。
お母さんがお腹の中の赤ちゃんを大切に守る姿から“包む”という文字が生まれ、その中身を大切に思う気持ちと、渡す相手を敬うが故に「包む」という行為になったと考えられます。
日本の風呂敷文化
韓国のポジャギと同じように、日本で古くから使われているのが風呂敷です。
時代は奈良時代、元々はその名の通り、風呂に敷く布や、着替えを包むための布だっという説があります。
庶民に風呂敷が広く使われるようになったのは江戸時代以降。銭湯の普及や、材料となる木綿の国内栽培普及がきっかけだったとされています。
明治時代以降は、商売で商品を運んだり、学校に通う際の教科書や道具を運ぶといった日常的な使い方から、結納などハレの日の場面でも必需品となりました。
その後、時代の変化と共に紙袋やレジ袋が普及し、「包む」から「入れる」の時代に。
しかし近年はエコの観点からも再度注目されています。
包んで、飾って、楽しむポジャギのある豊かな暮らし
ポジャギを見ていると、色や形の組み合わせが作り手によって様々で、アイデアや個性を色濃く感じます。それは光に透かすことで輝きを増し、日常を優しく彩ってくれます。
古くから伝わる伝統技術や、包み贈るときの人を敬う心、美しいものを見て感動する心は、ポジャギを通して感じた豊かなHAA時間です。どこかで手にとる機会があれば、その丁寧な手仕事の賜物をじっくり見て、思いを馳せてみてくださいね。
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