以前から訪れたいと思っていた湯布院の小さな湯宿「光の家」。
レトロな雰囲気の建物を引き継いだ、まだ若いご夫婦が営んでいる温泉宿だ。名前の通り、建物に差し込む光が美しい。
心地よい空間と、時間の流れ
ここには、大切に手入れされた空間や丁寧に貯められた時を、滞在することでゆっくり味わっていく、そんな心地良さがある。
館内の至る所に飾られたフィルム写真やアンティーク雑貨から、古いものを大切にしている宿主の気持ちが伝わってくる。
館内を巡ったあと、心地の良い和室でゆっくりお茶をいただきながら、ほっと一息。あえてテレビは置いていないのだろう。静かに流れる時間を味わうことができて、本でも読もうかという気持ちになる。
お正月に訪れたので、杵つき餅のお汁粉がふるまわれた。季節を感じられるきめ細やかなおもてなしも、嬉しい。
館内には、-Cha No Ie-という本格的な茶室も。九州を中心に、日本茶を人の心に届ける活動をしている森繁麗加さん監修のもと、厳選された茶葉、茶器などが用意されている。お茶好きの人もきっと楽しめるだろう。
こころと身体を癒す、やさしい温泉
温泉は基本的には貸切予約制で、早朝だけ2つの風呂場が女湯と男湯に分かれる。どちらも同じつくりの内湯と露天で、由布岳を見渡せる静かな空間だ。
そしてここの温泉の湯ざわりは、宿の雰囲気とまさに同じ。どこまでも柔らかく、やさしい。
赤ちゃんや肌の弱い方にもお勧めできる無色透明の単純泉で、天然の保湿成分であるメタケイ酸も豊富。源泉かけ流しの新鮮なお湯にゆっくり浸かっていると、自然とこころと身体がほぐれていく。露天風呂の湯船から望む雄大な由布岳が、ほぐれた心と身体をやさしく受け止めてくれるようだった。
身体が喜ぶ食のおもてなし
温泉であたたまった後は、お楽しみの夕食だ。レトロな雰囲気のカフェラウンジで、おおいた和牛のランプステーキをいただく。
脂肪分が少なく、柔らかい赤身のお肉なので、ボリュームはあるがぺろりと食べられる。この夕食のために再訪したいと思えるほど、美味しいステーキだった。旬の無農薬野菜がたっぷり入ったサラダも、忘れられない。
ふかふかの布団でゆっくり眠った翌朝は、素晴らしい朝食が待っていた。旬の野菜がふんだんに使われた献立は、身体にもやさしい。ひと口ひと口味わうごとに、チャージされていくエネルギー。起き抜けのぼーっとした頭も、食べ終わる頃にはすっかり冴えて、その日一日をどう過ごそうかわくわくしている自分がいた。
心に光をたずさえて
朝食を終え、身支度を整えて宿を後にする。後ろ髪を引かれながらも、こころもからだも満たされた今、足取りは軽く、心は明るい。
古いものを大切にした手入れの行き届いた空間と、さりげない心遣いを感じるおもてなし、身体が喜ぶ旬の食材を使った食事、そしてどこまでもやさしい湯ざわりの温泉。
「光の家」は、きらきらと心に光が差すような、そんな気持ちになる温泉宿だった。
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旅館 光の家
所在地:大分県由布市湯布院町川上2490
料金:素泊まり11,000円~
朝食付き13,800円~
2食付き19,200円~
アクセス:由布院駅より車で5分/湯布院ICから10分
チェックイン 15:00/チェックアウト 10:00
Wi-Fiあり
https://www.hikarino-ie.com/