わたしたちの庭で
自分のお店を持ってから、もう三年くらいが経つ。
小売業も喫茶も本屋も未経験のなかではじめたわたしたちの本屋は、今日も川を見下ろす高台にある。
人口よりも猪の数が多い山のそばで本屋をはじめると言ったときに、賛成してくれた人はほんのひとにぎりだった。「こんなところに、人なんて来るはずないよ」と言われながら、開店したわたしたちのお店には、この三年でたくさんの人が訪ねてきてくれた。
いまだに、お店屋さんごっこをしているような気持ちになる。三年経ったところで得られた技術など僅かで、いつまでもいつまでも見習いでいるのだろう、という気分でいる。掃除はしんどい、重い本を運ぶのも楽しくはない。売上を見て眠れない夜を何度も過ごしたし、天気や気候に左右される客足をうらめしくおもったこともあった。
それでもまた店のドアを開けるのだろう。それがなぜなのか、もうわからないまま、風が通る店内で、庭から続く山々を見ながら今日も本を並べている。
小売業も喫茶も本屋も未経験のなかではじめたわたしたちの本屋は、今日も川を見下ろす高台にある。
人口よりも猪の数が多い山のそばで本屋をはじめると言ったときに、賛成してくれた人はほんのひとにぎりだった。「こんなところに、人なんて来るはずないよ」と言われながら、開店したわたしたちのお店には、この三年でたくさんの人が訪ねてきてくれた。
いまだに、お店屋さんごっこをしているような気持ちになる。三年経ったところで得られた技術など僅かで、いつまでもいつまでも見習いでいるのだろう、という気分でいる。掃除はしんどい、重い本を運ぶのも楽しくはない。売上を見て眠れない夜を何度も過ごしたし、天気や気候に左右される客足をうらめしくおもったこともあった。
それでもまた店のドアを開けるのだろう。それがなぜなのか、もうわからないまま、風が通る店内で、庭から続く山々を見ながら今日も本を並べている。