日常の中で深呼吸できる時間を“HAA時間”と名付けてご紹介するコラム。
今回は、“古き良きに触れる”をテーマに、「金継ぎ」についてご紹介します。
金継ぎとは
金継ぎとは、割れたり欠けたりした器を漆で修復し、継いだ部分を金で装飾する日本の伝統的な技法です。
壊れたものを継いで使う技術の歴史は古く、縄文時代には似たような技術が用いられていたと伝えられています。
モノを大切に使うという日本らしい文化は、千年以上も昔から根付いていたのですね。
最近では、自分で金継ぎができるキットや、金継ぎ教室を開催する場も増え、より身近なものになりつつあります。
愛着のある器をもくもくとなおす作業は、「日常を忘れて集中でき、良いリフレッシュになる」という声も。
自分の体や心に目を向けるのも大切ですが、こうして何かに没頭する時間も、とても贅沢なHAA時間なのかもしれません。
使って、継いで、繋いでいく豊かさ
数年前、作家さんの個展に行き、一目ぼれしたお皿を2枚買いました。
作家さんの作品を買うのは初めてで、憧れに手を伸ばした高揚感は忘れられません。
それから何年か経った、ある朝。そのお皿を不注意で割ってしまったのです。
当時多忙な日々を送って疲れも溜まり、お皿が割れたショックが引き金となって、一気に溢れ出す涙。
割れた欠片を集めながら、切なさは増すばかり。
どうにか直す方法はないかと調べた末に、金継ぎを知りました。
自宅でできるキットがあるようでしたが、不器用な私はプロにお任せすることに。
数か月後、丁寧に金で継がれて手元に戻ってきたお皿は、魅力も愛着も増したように感じました。
器を使う度に、思い出す色々な感情。
そして今は、将来この器を我が子に渡せるように、大切に使っていこうと思っています。
金継ぎを知ってから、割れやすい器も日常使いできるようになりました。
割れたら、また継げばいい。その過程すら楽しく愛おしいことを、今は知っています。
そうやってお気に入りの器をおしげなく使う時間も、心を豊かにしてくれるような気がしています。
ジャーナルでは、様々なHAA時間をご紹介しています。是非チェックしてみてくださいね。