Journal

HAA's Kanoko Ikeda and Sohaku's Saki Nakao / A Look Back at the Origins of Brand Concept Creation

【対談】HAA・池田佳乃子×素白・中尾早希/ブランドコンセプトづくりの原点を振り返る

「日常に、深呼吸を届ける。」

これは、HAAが掲げるコンセプトであり、商品開発やコンテンツ制作など、全ての活動の根っこにある考え方です。

このコンセプトづくりを行ったのは、HAA代表の池田佳乃子と、「素白」の中尾早希さんです。

https://haajapan.com/blogs/journal/so_haku__

今回は対談という形で、このコンセプトの誕生秘話をたっぷり伺いました。
おふたりの出会い、2泊3日の温泉合宿、自分の想いを深堀りする過程など、当時の写真を交えながらお届けいたします。

頭の中にあるものを、カタチにするために

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--もともとお二人は、古くからのお知り合いだったのですか?

HAA池田「早希さんとは、2017年に尾道旅行に行ったときに、友人の紹介で初めて知り合いました。尾道にある洋酒喫茶ロダンっていうお店でお話しして、その時に、物事を深掘りしたり、組み立てたりするのが上手だなって。きっと普段から、色んなことについて深く考えて生活しているんだろうなという印象でしたね」

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HAA池田「そこから時が経って、改めて連絡したのが2020年の11月頃。そのころ、“湯治文化をカタチにしたい”“ブランドをつくりたい”とは思っていたけれど、その理由とか、具体的に何をするのかとか、もっと深掘りしたいと思っていて。考えを深めていくのに、誰かに伴走してほしいと思った時に、早希さんの顔が浮かんだんです」

--なるほど。尾道で出会った時の会話ややりとりが印象に残っていたからこそ、ピンときたんですね。

早希さん「最初オンラインで何回か対話をさせていただいたんですけど、私自身は湯治を体験したことがなかったので、ネットや書籍で調べてはいても、推測の域を出なかったんですよね。それで実際に体験してみようという話になって、温泉合宿が決まりました」

2021年の1月、別府・鉄輪温泉にて2泊3日で行われた温泉合宿。そこでは、どのような時間を過ごし、どのようなお話をしたんでしょうか?

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HAA池田「同じ部屋に泊まって、各々本読んだり温泉入ったり、ゴロゴロしたり地獄蒸しをつくったりして過ごしましたね。夜になって『この緩んだ状態ってどういう状態?』と分析して、言葉にしていくような作業をしました、さつまいもを食べながら(笑)」

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HAA池田「そこで、私が感じる湯治について深掘りしていきました。実は湯治って、“こういうものです!”って説明できるものでもなくて。人それぞれ感じ取るものは違うし、緩んでる感覚も人によって違うと思うけれど、共通しているのは心に余白がある状態をつくれるということだねって。そこから『深呼吸』とか『心の余白』っていう、ブランドコンセプトの根っこになるキーワードが出てきましたね」

--まさに、今のブランドの根底にあるような言葉が、その時に浮かんでいたんですね。

なにを、どんな人に届けたいのか

HAA池田「どういう人に届けたいのかという話もしましたね。その中で、私の過去の話も沢山お話しました。昔、私自身もすごく呼吸が浅くて、心も身体も常にパツパツだったんです。過去の自分みたいな人に、湯治で感じたような感覚が届いたら、もっと社会もやわらかくなるというか、優しくなるんじゃないかと」

早希さん「そうですね。佳乃子さん自身に、どういう経緯があったから今そう思ってるのかなどを深掘りしていきましたね。その上で、どんな人に届けたいのかというのも、色んな角度から深めていきましたね」

早希さん「具体的にいうと、女性をターゲットにしたいわゆるフェムテック(※1)ブランドをつくりたいのかな?とか。でも湯治自体は男女も年齢も関係ないし、そうじゃないですよねと」
(※1)フェムテック・・・女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決していこうとする商品やサービスのこと

HAA池田「そうそう!私が女性だから、忙しい女性に対して提供したいのかと早希さんに聞かれて。でも、違うなと」

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HAA池田「実は、この合宿の前に、年齢・性別・ライフスタイルの異なる100人に、1日どう過ごしてるかをヒアリングした時期があって。そのなかで、例えば大学生も、コロナ禍で勉強もままならなくて、将来のことや人間関係で悩んで疲れていることが分かったんです。大人だけじゃなくて、3歳くらいの男の子をもつママさんには、息子さんが朝起きて、ひとりで黙々とレゴで遊んでいた時のエピソードを教えてもらって。それを聞いて、きっと小さい子どもでも、一人になりたい時があるのかなって。だから、心が疲れたり身体が疲れたりすることって、老若男女みんながなることだと改めて思いました。それもあり、年齢や性別の垣根を超えて、みんなに届けたいという想いがはっきりしたというか」

--それはすごく重要な気づきですよね。早希さんからの問いに答えていくことで、内在化している気持ちに気づくことができて、ブランドの方向性がはっきりしていったんですね。

商品づくりについてはいかがですか?HAAが最初につくったアイテムは入浴剤ですが、その案についてもお話ししていたのでしょうか?

HAA池田「そうですね。まず湯治って、温泉に入るだけじゃなくて、ライフスタイルそのものなんじゃないかとか。じゃあそれを人々が日常生活に取り入れるために、どんなプロダクトが良いだろう?という切り口で深めていきました」

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HAA池田「心に余白をつくるために、お風呂に入ってリラックスするのはとても大切だと思って。だから入浴剤が良いのではないかとアイデアは出ていたんだけれど、その一方で、入浴剤ブランドをつくりたいわけでもないということも話をしました」

--入浴剤をつくることを決めつつも、入浴剤ブランドではないと。

HAA池田「そうです。あくまで、湯治を通して感じた『深呼吸する日常』や『余白のあるライフスタイル』を届けるブランドをやりたいと。その上で、最初に作るのが入浴剤になったという感じで」

早希さん「そうですね。商品アイデアについては、まず最初に、日常に湯治を持ち込むにはどういう方法がいいかを、沢山考えましたよね。お風呂に浸かるとか、良い睡眠のためにブルーライトカットの時間をつくるとか、どういう要素が湯治に近いかみたいなのを一緒に書き出して。そしたらやっぱりお風呂に入るのはとても大事だから、それを皆さんに体験してもらえる仕組みを考えようと」

HAA池田「そういった部分が、早希さんとの対話を通してどんどん明確になっていったように思います」

対話を通して明確化する、自分の軸

早希さん「こうやって、具体的に掘り下げていくことって、ブランドにとってとても大切なことだと思うんです。これからブランドを立ち上げて進んでいくにあたって、もし入浴剤ブランドになってしまったら、根っこにある“湯治文化をカタチにしたい”“深呼吸を届けたい”という想いとずれてしまうなと思うんですよね。違う見え方になってしまうと軌道修正するのも大変だし、ビジネスの展開の仕方も難しくなってしまう。だからこそ、佳乃子さんには『こうですか?ああですか?』って揺さぶるような質問を沢山しましたね(笑)」

HAA池田「そうそう!そう聞かれる度に私も考えて、どんどん解像度が上がっていく感じ!」

早希さん「私が『こっちがいいですよ!』って提案して進んでいっても意味がなくて、佳乃子さん自身の想いを核にするのが大切だと思っていました。それを引き出したり整えたりするために、付随してそうな色んなものを細かく聞いていきました」

--それは本当にブランドづくりの根幹として大切なことですね。なおかつしんどい作業でもあるから、一人で向き合うには体力がいるというか。そういう意味でも、お二人で対話を繰り返すことで、とても良い方法でカタチになっていったのだと感じました。

ギフトで広がる、深呼吸と優しさの連鎖

--現在、ギフト利用も多いHAAですが、その未来は想定していたのでしょうか?

早希さん「アウトプットの方法として、日常づかいだけではなく、ギフトづかいできるものが良いねというお話はしましたよね。自分では手に取らない人でも、ギフトとしてもらった人は湯船につかってくれるし、気持ち良い体感が得られるから。そうやって、いたわりの連鎖が生まれたらいいねって、当時のメモにも書いてあります」

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 HAA池田「そうですね。私たちが届けたい人に届くためには、ギフトを贈るという方法で色んな人の力を借りながら、いたわりや優しさの連鎖を広げていきたいなって」 

早希さん「『自分が自分の状態に気づける』という主体性の話とかもしましたよね。自分で気づいて、自分をいたわってあげられる人が増えて、みんなが健やかになれば、良い選択をできる人が社会に増えていくのではないかと。そのサイクルづくりの足がかりになりたいという話もしましたね」

 HAA池田「うんうん。心身が健やかな状態って、結局社会と繋がっているので。そこにアプローチしたいんだなと気づきました。どうやって社会を優しい世界にするのか、やり方は色々あると思うけれど……私はそのために、自分自身が魅了された湯治文化をカタチにして、優しさの連鎖を生み出していきたいんだと、改めて確認できました」

 --今聞いたお話はブランドができる前のお話ですが、実際HAAができて1年以上が経った今、現実になっているのを肌で感じますよね。改めてこの合宿は、佳乃子さんにとってどんな時間だったと思いますか?

HAA池田「自分の琴線に触れたものを、零れ落ちないようにすくって、それを早希さんが言葉にしてくれた大切な時間でしたね。そういう繊細で、丁寧で、根気がいる作業を最初にできたのは、早希さんがいてくれたからこそだと、今振り返っても思います」

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HAA池田「最初は私ひとりだけだったけれど、そこに早希さんが加わって、HAAのメンバーが加わって、お客様が加わって、HAAが目指した世界がちょっとずつ広がっている実感があって……その感覚が今すごく嬉しくて幸せです」

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HAA池田「砂漠に種がおちて、小さな芽が出て、それが木になって、今は林くらいまで茂っているようなイメージ。それがこれから森になって、オアシスみたいになったらいいなって。それを、お客さんやHAAメンバー、取引先さんと一緒に、大切に育てていきたいと思います」

その最初の種は早希さんとの対話で出てきたものだから、種って大事だなって。種がなかったら何も出ないし、木にも林にもならない。だから、種から芽が出る部分を早希さんと作れたのは、すごく貴重で良い時間だったなと思います。本当にありがとうございました」 

早希さん「こちらこそ、とても貴重な経験をありがとうございました」

 

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今回は、HAAのコンセプトづくりについて、お二人に振り返っていただきました。

根気強く対話し、自分の考えをあらゆる角度から検証したからこそ、そこから生まれたコンセプトは、純度100%。一点の曇りも、迷いもありません。

 その想いが宿ったアイテムが、皆さんの日常に深呼吸を届けていく。その先にはきっと、二人が温泉宿で夜な夜な語り合った、理想の世界が広がっていくことでしょう。

これからもHAAは、皆さんの日々に深呼吸を届けるべく、さまざまな取り組みを行っていきます。これからも、どうぞ宜しくお願いいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

編集部 HAA
編集部 HAA
心身ともに余白のあるライフスタイルが送れるように、様々な情報を深呼吸と共にお届けします。

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